人はなぜあがるのか
東京話し方教室 講師の三原です。今回のブログでは「適切な話し方の練習をしてあがり症を改善する秘訣」についてご紹介いたします。
自分たちの体にとって、生命を維持するためにとても大切な働きをしているが自律神経です。人前で心臓がバクバクしたり、冷や汗をかいたり、そのようなあがり症はこの自律神経と深く関係しているのです。
自分たちの体には、自分の意思で働く体性神経と、自分の意思とは関係なく働く自律神経の2つの神経があります。
体性神経は暑い・寒い・痛いなどを感じ、脳に伝える神経です。
一方の自律神経は、心臓や内臓を動かし、血圧や体温の調節をするなど体の重要な機能をコントロールしています。
そして、この自律神経は、活動モードの交感神経と、休息モードの副交感神経の2つから成っています。この2つの神経のバランスが崩れると体にはさまざまな不調が引き起こされていきます。
ひどい緊張感や不安感におそわれた時、心臓の鼓動や呼吸が速くなったり、手に汗をかく、体が震えるなどの変化が起きます。これは、覚醒や興奮に関係している神経伝達物質が活発に分泌され、交感神経が興奮している状態になります。
このように、交感神経が刺激を受け興奮すると、心拍数や体温、血圧が急上昇し、動悸や発汗、震えなどのあがりの症状が起こります。中には交感神経が敏感な方もおり、そのような人は反応が多少強く出すぎてしまうこともあります。
あがり症は、とらえどころのない漠然とした不安を感じさせるものですが、誰にでも起こる正常反応です。ただし、正常反応ですがそのレベルはさまざまで、人によっては日常生活に支障きたすような場合もあります。
このようなあがりの症状は、自律神経にコントロールされており、交感神経が優位になりすぎている状態です。2つの神経のバランスが崩れてしまっているので、どうにか副交感神経を刺激してバランスを元に戻す工夫や練習をすることで、ある程度克服していくことは可能です。
例えば、意識的にゆっくりと呼吸を行ってみたり、筋肉の力を抜いたり、首を冷やしたりすることは、副交感神経を刺激してバランスを調整してくれます。さらに、これをすれば大丈夫という自信を持つことです。
その小さな自信の積み重ねが、あがりに対する怖さを克服できるパワーになっていきます。そのためには、適切な話し方の練習を積み重ねていくことが重要です。
話し方やコミュニケーションを正しく理解する
人と話をすることに苦手意識を持っている方は、まずはコミュニケーションを正しく理解し、あがりの心の問題を改善していくことも大切なことです。あがり症が欧米人にはあまり見られず、日本人に多いという調査結果があります。
カナダと日本の大学生を比較調査したところ、多数の人を前にすると日本の学生の方がより強く不安を感じていたのです。これは、他人に迷惑をかけることや人前で恥をかくことを極端に気にし、はっきりと自己主張することをためらう日本文化が背景にあります。
また、ある調査では、相手との距離であがり症が発現するとの報告があります。家族や友人と話しをするときは、相手に触れることのできるような距離で話をします。このような密接な対人距離では緊張や不安はほとんどありません。
しかし、仕事や公の場での話しをする距離になると、他人に迷惑をかけたくない加害感情と、恥をかきたくない被害感情が働いてしまいます。その複雑な感情と日本人独特の文化があがりの症状につながっていきます。
しかし、コミュニケーションは会話のキャッチボールです。どちらか一方が頑張っても上手くいきません。聞き上手や質問上手な人と会話をすると話が弾むといいます。
これは、スポーツや勉強と同じことで話し方の実践練習を積めば会話のキャッチボールも上手になります。会話が苦手な人は、一般的に人前で話す機会が少ないと言われます。焦らず急がず一歩一歩話し方の練習を積み重ねていくことが大切です。
そして、あがりの大きな特徴の一つとして外からは見えにくい、ということがあります。あがり症は、心臓のドキドキや手足の震え、汗をかくなど、周りの人たちはそのような症状をほとんど感じていないのが実情です。
このように、あがりの症状は会話の相手からはほとんど見えないということが、コミュニケーションを正しく理解するポイントです。その部分を意識しない分、相手の話に相槌を打ったり、質問を工夫したり、話し方に意識を集中することができます。
あがり症に特化した話し方教室で練習する
全国にはたくさんの話し方教室があるので、教室選びに迷っている方もいると思います。まずは、話し方教室に行く目的をはっきりさせることです。
目的によっては、カリキュラム内容やクラスの人数も違ってくる場合もあります。目的を明確にすることで、自分に合う話し方教室を探しやすくなります。そこで、あがり症を改善したい方は、あがり症対策に特化した話し方教室で練習することをおすすめします。
あがり症対策の教室で、適切な話し方の練習を積み、また成功体験も積み自信を持つことが重要です。あがり対策に特化した練習は次のような3つの特徴があります。
1つは、実践に役立つあがりの知識が厳選された授業内容です。人前で話すときに、意識できる内容はせいぜい2~3個程度です。その意識するポイントも慣れると無意識になります。このように、あがりを改善するために意識するポイントを無意識のクセまで落としこむことが重点になっています。
2つ目は、人前での練習を繰り返し行うことです。日常生活では作りにくい、人前で話す環境を用意します。時間の許す限り何回でも練習することで、次第に話す環境に慣れていくことができます。
3つ目は、自分のことを認めてもらうという実感ができることです。自分の話をしっかりと聞いてもらい、受け入れられる実感が持てます。人前が苦手だと劣等感につながりやすいですが、自分の価値に気づけるようになります。
人前で話せるようになることで生き方が変わることもあります。加えて、教室選びに際しては、次のようなことが大切になります。
まずは受講料です。いくら内容が良くても受講料が高いと継続していくことができません。HPでいくつかの教室を調べ比較して決めるようにしましょう。
次に講師や教室の雰囲気です。無料の見学会や無料体験に参加して自分に合うかどうか判断するようにしましょう。
また、親身さもチェックすべきポイントです。教えてくれる講師が親身になってくれているか、また、コースの受講後も相談にのってくれるアフターフォローがあると心強いと思います。
どうぞ適切な教室を選び、適切な話し方の練習を積んであがり症を克服してみて下さい。